千の血と/
癸
天変地異の空の下
流れる雲は何ぞやと
窓の中を覗き込み
笑う赤子を噛み砕く
昇る朝日は
何時もの様に
鴛眺めて苦笑い
可愛いあの子は
何時も一人で
人が恋しと
人を喰う
山の中のせせらぎは
細い身体を潤す様に
生贄おくれと
泣いている
毎夜彷徨う鈴虫は
身体の痛みを必死でこらえ
今に見てろと
死を叫ぶ
水面に写る外灯の
下は霊の溜まり場か
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