つながりゆくもの/水無瀬 咲耶
灰と化した花びらが ふわり手のひらに沈みこむ
時の流砂でくたびれるより 儚く拙い言葉たちよ
いっそこの身体ごと 潔く風にほどかれてしまえ
感動の華華を咲かせてくれた 芸術の息吹。
ひとりでは辿りつけない 美しい世界を
垣間見せてくれた すべての善きものよ。
そして いつも温かな愛を分けてくれた
親切な人たちへ。
この感謝の想いは 次の型を求めて 流転する
それは 空蝉の解放に似たエントロピーの増大
泡となった人魚姫を訪ね力場に漂う熱量に還る
やがて暁の時空を 鮮やかに泳ぎわたり
ほの暗い屋根裏部屋で まどろむ詩人と
微かで甘やかな光のことばで 語り合う
それはまるで どんな時も何かが僕らを
あの蒼穹に誘ってくれたようなささやき
いつの日か、誰かの胸に甦る天使の羽音。
或は、貴方に微笑む熱烈な太陽の眼差し。
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