良き思い出に告ぐ/きりえしふみ
さあ 風よ どうぞ 吹いて来て下さいな
あの懐かしき日の夕べの面差しのまま
少し寂れた けれども優しい雰囲気と
そして たおやかでしとやかな その仕草で
わたしの両肩に止まって見て下さいな
寄り道がしたい そんな昼下がりには
さあ こちらです
風よ わたしへ舞い戻って来て下さい
さあ 火よ こちらへいらっしゃいな
そんなに慌てて 新しい刻々へ 日々へと
移ろうばかりはやめにして
急ぎ足の一足の靴を脱いでおしまいなさい
そうして取り分け 使い古されたようなランプに
使われなくなって 久しいあの燭台に
なるだけ薪をくべてごらんなさい
例えばその地に風が香れば
千
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