戯れ/千月 話子
 

男を好きになる度に
彼女の体から火薬の匂いがするの


情熱はジリジリと 
へその下から入り込んできて
体中を燃やして行くのよ
 だから いつも
骨の焼ける匂いのする
彼女の手を取って
2人して水道水の流れに
肘まで浸かる午後3時には
光りの屈折で
私の体にまで熱が伝わり
同じ気持ちになってゆく


 そのうち
熱された私の胃の中のニューデリーから
香辛料の香りがするの


夏の体は あまり好きではないから
天辺で束ねた髪を解いて
シャンプーの花の残り香で
暑苦しい匂いを覆い隠すのよ
 ただ それは
南国の花の下で食べるココナツカレーの

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