さよならネバーランド/蒸発王
られたペンキが剥がれ落ちて
細かい粒が床に落ちていた
白褐色の粉粒が
何かの遺骨のように感じられて
指ですくって舐めてみた
賞味期限が切れた夢の味がした
もう眠ったふりなんか
できないね
君(ピーターパン)は行ってしまった
どうか
君は
君だけは
私を懐かしんだりしないで
どこにでもある思い出にしないで
もっと強い感情を燃やして
其の感情に私の名前をつけて
そしたらきっと
その分記憶は色あせるでしょう
私は
愛しさなんか忘れて
ただ万感の思いと共に
最後に窓を閉めて
さよならを歌うと思うの
『さよならネバーランド』
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