さよならネバーランド/蒸発王
 
夜が明ければ夢の後
大人の世界に
ピーター・パンはもう来ない



『さよならネバーランド』



開け放した窓が
梅雨晴れの日光を引っ張っている


家具を無くした部屋は
思っていたよりも
ずっと広くて
少し驚いた


空になった
君が愛した間取り
あげると切りが無いけれど
この部屋で使ったものは
小さいものから大きいものまで
全て始末してしまった


それでも

ネバーランドは
剥き出しのまま記憶に残っていて
少しの呼吸で胸に響くから
私はまだ歌えずにいる



引越し業者の去った後
部屋空気は白くくすみ
壁に塗られ
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