きみの名を呼ぶ/銀猫
 

夜は綻び
朝が死角からやって来る


陽射しが強くなれば
それだけ濃い影は出来て
ありふれた若さのなかに取り残したわたしと
残り時間を失ってゆくわたしが
背中合わせする毎日に
日記の文字は躊躇っている

両手のひらを差し出せば
落ちてくる羽根のような不安
無駄に強がり
走ろうとすれば
踵の高い靴を履いた爪先が痛む


白くありたい
けれど強い黒になりたい
いっそ汚れ混じり合うものなら


砂時計を横に倒して
さらさらと無情に過ぎる刻の証拠を
否定してみても
こころの真ん中で
闇が密かに脈打っている

耐えかねて
きみの名を呼ぶ


名を呼ぶ

きみの



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