夕/
民
携帯の横で
揺れていた鳥が
わたしのもとから
飛び立ってしまった
わたしの横で
聞こえていた声が
わたしには
聞こえなくなってしまった
黒の中にひとり
透明のわたし
七夕の夜が近い
蝶にもらった銀色の粉は
飲まずに捨ててしまった
時間も
場所もない
待ち合わせをしている
あなたが銀色の粉になるまで
時間もない
場所もない
待ち合わせをしている
昨日わたしの携帯から
飛び立った銀色のツバメと
あなたと
戻る
編
削
Point
(3)