約束/シホ
 
一枚一枚
葉っぱをむしりとるように
ひとつひとつ
約束を破った
一本一本
虫の肢を引っこ抜くように
ひとつひとつ
約束を破っていった

それは自らも止めようない
虐殺であった
約束をひとつ破るたび
ひとつ繋がりが断たれる
ひとつシャッターが下りまたひとつ
次第にわたしは遮断される
それは自らの行為といえ
どうしようもない不可抗力だった

いま
破られる約束のひとつもないばかりか
新たな約束の結びへと脈打つ
繋がりさえ皆無で

わたしはまさに
葉をことごとくむしられふるえる
風にさらされた細い枝
いや
ふるえもしない地に落ちた枯れ枝
手足をむしられて
もはや静物の姿で
地中に埋もっている小動物
風にさえさらされない肉の塊

わたしは望む
この姿でなお
祈りのポーズを身に切り刻む
わたしは祈る
約束を果たすちからを
ただひとの生きられるだけの
ちからをこの手に

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