「 沈黙の時間 」/椎名
 
鬱々とよからぬ想いに囚われる
思いもかけない冷たい響きの声を聞いた後では

いつもの声じゃない
いつもの言葉じゃない
どこがどうだというのではないけれど
なぜか冷たい風が吹いてくる

根拠などない
確信があるわけでもない
それなのに
隙間風を感じるのは何故?

一瞬で凍りつく心
振り払おうとすればするほど
絡み付いてくる

形の無いものを
何故人は信じきることができないのだろう
パンドラがあの小さな箱を開けてしまったから?
疑惑という心を持ってしまったから?

早くこの時間が過ぎればいい
ひとりきりで
あなたを待つ耐えがたい沈黙の時間が


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