言葉を超えた領域に向けて言葉を放ち続けるのだ/大覚アキラ
 
 サンボマスターの山口隆は、『そのぬくもりに用がある』のMCで、「言葉にならないからギターを弾くわけですよ!」と叫ぶ。この叫びを突きつけられたとき、思わず立ち竦んでしまった。そして、立ち竦んでしまった自分に軽いショックを受けた。

 山口の「言葉にならないからギターを弾く」という叫びの裏側にあるのは、「言葉にならない」=「言葉を超えた」何かの存在であり、それはすなわち、言葉の臨界点に立った者の叫びなのだと思う。それは、決して一般論としての言葉の臨界点ではなく、飽くまでもサンボマスター山口の語彙という意味での、彼自身の言葉の臨界点に過ぎないのかもしれない。

 だが、言葉に限界があるのは事実
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