(はゆ)風の思慕 −加藤大次郎に−/クリ
仕事帰りに通る駅から我が家までの坂がある
これは下り坂なのだが、朝は確かに上り坂だった
いつもいつもいつの間にか上りと下りが入れ代わる不思議な坂だ
何時ごろに上下が交替するのか観察してみたことがあるが、判然としなかった
今日もいつもどおり下り坂を下った、というか下るから下り坂なんだろうか?
ふとそんな疑問が沸いたがあいにく僕はレトリックには弱い そのとき!
春雷が遠くからあっという間に駆け寄ってきていたらしく
僕は落雷に打たれた、いや、日本語がおかしいか
雷に打たれた、いや、雷は音のことだから稲妻、が正しいか
いや、やっぱ雷でいいのだし そんなことはどうでもいいのだ
僕に落雷し
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