水平線遊戯/こしごえ
 
湾曲している水平線上にて、
しめって酸化しそうな金属の肌が
垂れこめた雲に灰色の腐蝕を放っていて
見あげても星は降る気配
海の月の揺らぎ
飽和した幻影の瞬く電子
この神経を流れ去ることのない衝動に
青くさびる血液の声が鳴動し
暗雲の細胞の暗さへと
青白い熱を帯びた
裸体の静まりを聞きながら放心していく
その鎖骨の曲線から零れるちいさな乳房に
しびれながら接吻する灰色の肌をした老人の
心音のあわいから したたる
光をすこしずつ食べて
内包されてゆく蕾の夢に やがて
蜃気楼が冴えかえり はたたく
キス
されたのは
わたくしだった
雨月水曜日。
冷たくなったわたくしは、
七(しち)次元で楕円体の内面に波音をさせている海原へと
キスをくりかえす流転の舟







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