初恋/こしごえ
 
ブルーベリージャムの あまずっぱい朝に
「お早う」と言って
庭へ目をやる
すっと口許に手をそえ
ちいさな欠伸
すこし涙がじんわり
(うつむいて)
すっと小さな海をふちどる
縁側でやんわり座るかたわら
薫風の声にふと
(視線をあげる)
鬼芥子の蕾のひらいた音
がした気がして
心なしかゆれている花
紺色の胞子が
あかくうすい肌に零れてしまい
いまになって よみがえるあぁあまずっぱさ







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