メトロノーム/霜天
 
時間が、かたちになるとしたら
思うよりも綺麗に見えるかもしれない
夕日を右側に受けながら
止まった部屋が揺れた気がする

ほんの少しのリズムを
みんなが取り戻していく
いつかよりも欠けた人と
塗りつぶされた空間の、景色のようなもの


消されていく人影と
通り過ぎない夏の匂いも
いつかは砂に紛れて、傾いていくから

残さない、なんて約束をした
遠くに行ける、そのための声だと
誰も、願っていたはずなのに
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