祖国/霜天
いつも眠ることばかりを考えていました
枕の硬さが場所についてを語っているので
少しばかり、指先を開くようにして
眠る場所のことばかりを想っていました
安息は帰りましたか
こちらでは同じことが顔を背けて
冬の後には冬が続くので
電車に揺られれば、窓の明かりが気になります
伸び続ける人の声は平らな青空に阻まれて
それでも届きたいと願うのでしょうか
いつか
紐解かれるように離れていっても
繋いでいたいと思いますか
組み込まれた積み木の城に
抜き取られる幸せは
誰も忘れられない、こと
そう信じていた頃は
もう西日の裏側ですか
木陰に光の揺れる日を
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