堆積する千の光/裕
僕のことは僕が一番よく知ってる なんて豪語していたけれど
実は 鏡なんてまともに見たことがなかったんだ
初めて見た鏡は
夜の海みたいで
「上方には 深く 濃い ブルー」
飛散する泡沫
ゴボ ゴボ
音をたてながら 千の僕は堆積する
波の動きに揺られるまま 次の僕が 次の君が 次の誰かが
千に分裂して降り積もるのを待つ
ブルーに ここから見えるブルーに再び手が届くことはもう無い
時々 白くしなやかな手がブル−をその掌にすくいとり どこかへ運んでゆく
(おそらく新しい そして幼い命のもとへ)
ゆら ゆら 右に左に揺れながら 僕は眠る
薄ぼんやりと開いたまぶたの隙間から
舞い降りてくる無数の君たちを見つめて
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