全寮制耳毛へヴン/カンチェルスキス
 
シンガンの銃口から煙が立ち昇っていた。
 旅行鞄トランクスぎしぎし女は、横付けされた夜行バスのタラップを無表情のままのぼってゆく。
 鞄を荷物棚に置き、6のC席に座ると女はため息のようなつぶやきを漏らした。
「窓際にしてくれって言ったのに‥‥‥‥」
 マシンガントークの彼は筒状の灰皿の横で血まみれになって倒れていた。
 ちなみに、女の厚手の赤いマフラーはとめどなく流れる命の湧き鼻水のテカリを隠すためのものだった。


 だから言っただろう、油断も隙もありゃしない、マシガントークとは食うか食われるかの弱肉強食の争いだったのだ。そうだぜ、よろしく。サバンナ。耳毛へヴン。南無三。




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