とうめいな部屋/
本木はじめ
燃え上がる巨大な寝台列車から逃げ出すひとのいないやすらぎ
草上にレモンはひとつ落ちていてあなたのいない夜のはじまり
街中にひらく紫陽花5Fから観ている雨の降りしきる朝
ゆるやかに夏の時間は迫り来て海辺に打ち上げられる目覚まし
ここでなくあなたのこころでもなくてとうめいな部屋で雫は満ちてゆく
走馬灯のようによぎるか夏の夏あの日あなたにふられた夏も
きみといる部屋はひとつの惑星であるかもとわにそとがわは夜
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