茅屋/ミネ
 

じっとして
息をひそめていればよかった
そしたら
なにもかもが感極まったままで
なにもかもが仏尊としたままで
かるがるにスキップ
輝かしいばかりの海原
だったろうに

鞄なんかもあいつらに全部
屈辱もあいつらに全部
さっさとくれていればよかったのだ
こんなフラフラな千鳥足で
ころころ脇道に転んでばっかで
まっすぐ歩けやしない
ぐるぐるいろんなものがめぐりまわってくる
なら、わたしもまわってやろう
もう立ち上がれまい
と思うくらいまわって
ふつふつとして
仏尊にはなれない千鳥足で

影絵のような街が
黄昏れてる電柱などが
たおれてますが
その向こうには
わたしの茅屋が見えています

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