冬の暦/狸亭
 

 年が明けるとすぐ『騒』展があった。何の芸もないので下手くそな色紙を一枚出品した。

  太陽にとけゆく海
  椰子の葉叢は
  吹く風に膨らみ
  老いらくの色好み
  ゆらぐ冬の暦

 暮の十八日にインド航空でバンコクに飛んだ。高速道路が完成していてタクシーは中央駅ホアランポーンまで夕暮の街を快適に走った。

 異国の大駅の喧騒はいつも人々の臭いがいっぱいで懐かしい。七年前のカルカッタ駅のひとごみを思い出した。梅田智江はいまごろチェンマイかメイホンソーあたりをうろついているのだろうか。

  南路線の夜汽車に乗った。
  定刻を一時間おくれて動き出した
  列車
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