その夜の岸辺に/チェザーレ
 
水面の歌う声
月をも遠ざける
まるみがかった夜の漣

騙された雲は空を去り
世界が空に包まれた
朝はもう 来ない

額のしわを撫でながら
小男が河原を跳ねる
青白い夜のざわめき

終末を数える船乗りの
傷だらけの腕にまた
ひとつの夜が加えられ

滲み出た赤と湧き立つ白の交わりに
渦巻く 蝙蝠
融けだした月が 垂れる


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