雨色雑記/
朽木 裕
溝のないタイヤ
水溜りでくるり滑って
私は今、空を見ている。
頭から着地
或る意味とても器用
ぼんやり口をあけて雨を受ける。
どくどくと心臓
ごぽごぽと水音
側溝にはまるとは我ながら情けない。
外傷は右手の擦り傷
頭と背中と腰を強打
雨がひりひりする
空が薄明るくてきれい
私がその時考えていたことといえば、
今度また事故をしたら無理にでも上を向こう
最後に見るのが空っていいかも
だった。
人間、意外とタフだ。
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