煉瓦を積んだのは朝日に知らせるためではなく/
士狼(銀)
1
光の棲む場所に立てた、
煉瓦の墓標は
あの子の水晶体の
最期の反射によく似ている
2
朝日がなぞった煉瓦の質感は
どこか罪悪にも似た
紫陽花の萼の如き裏切りの反芻で、
あった
3
右腕の倦怠感は
夢を犯し、無意識を苛む
煉瓦が隠したその痛みだけが
或いは救いとなるのかもしれない
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