星の馨り/
まほし
荷物が重くて
帰り道が遠い夜も
星が しゃん、と
鈴を鳴らすことがある
鞄で傾いた右肩を
白銀色の響きが
そよ風となって撫ぜるから
もう少しだけ進んで行ける
余韻の尻尾
捕まえようとして
左足を踏み出したら
馨り
記憶を霞めて過ぎる
懐かしさを越えた場所へ
戻る
編
削
Point
(16)