雨にさらわれたあしたへ/あおば
 


生まれたのは
お祖父さんが亡くなった翌年で
お父さんは少しおかしくなって
お母さんは病気になって
急に雨が降ってきたのに
傘を持って学校に
誰も迎えに来てくれません
その点に於いては
今も変わりませんがと
ぼやいたら
不思議そうな顔をして
こちらを向いた人がいて
黙って
ジンジャーエールを
回してくれた
お祖父さんの仕草に
そっくりだと
お母さんが呟いた
お父さんは
照れくさそうに頷いて
なにもいわない

うるさく泣きわめいていた
お姉さんは
あおばの話は訳が分からないと
テレビの方に向き直り
明日の天気予報を眺めてる
明日の天気も気まぐれで
猫が鳴いても雨が降り
知らん顔して傘を差す





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