初夏の救出劇/プテラノドン
一面緑の草原に囲まれていた、人気のない路上で私は
太っちょの男と一緒に、真っ白な車のボンネットを
ぐいぐい押している。それを車内から美しい娘が見ている。
心配そうとも申し訳なさそうとも、そして、少しばかし
恥ずかしそうな表情で見守っている。
私と男は、車を、彼女を救出したあかつきにはーと
より一層、彼女を、車を、攻め立てる。身体全体を使って
行われるその反復運動の合間に、太っちょの男は彼女に
何度も微笑みかける。この野郎はSEXの最中にも、
そうやって笑うんだな、と思った私は声を張り上げずには
いられなかった。そして事終えた頃に、どこもかしこも
ぐしょぐしょに汗で濡れた私たち二人の格好を見て彼女は
真冬の設定の方が良かったかしら?―と、言ったが、
彼女のスカートから露出した太腿に釘付けとなった私たちは
ゆっくりと首を振った。―丘の向こう、牧場から鐘の音が
聞こえてきていた。
戻る 編 削 Point(3)