ひとつだけお願い/ふるる
 
切にされた子供たちは
やがて恋をし子を産んで
その間にも雨のように
きれいな音楽がプチプチと降り注いだの
それは生まれた赤ちゃんたちを優しく濡らしたの

赤ちゃんたちは手をたたき
小さな風がおこり
その風に乗ってきれいな音楽は
外国にいって
降り注ぎ

外国のツタは
青々と茂り大きな花を咲かせ
その香りで人々はうっとりとなり
手にした武器をそっと下ろし
かわりに子供たちを抱っこしたの
それで
生まれてからずっと泣いてばかりいた子供たちが
はじめて笑ったの

ええそうなの
月光を浴びて生まれた少女は
私のお母さん
青白い顔をした少年は
私のお父さんなの

これで私の話はおしまい

でもねえ ひとつだけお願い

嘘でも
怒らないでね


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