「 僕に吹く風 」/椎名
 
君はいつだって春風のよう
ふわっと頬を撫でて
振り向けば消えてしまう

この両手に掴まえようと
もがいてみるけど
ほら
もう違うところを渡ってゆく

春風に涙は似合わない
いつも笑っていて欲しいのに
時々冷たい雨を運んでくる

僕の心が震えているのを
君はしっているだろうか

ねえねえねえと
腕を絡ませてくる
まるで
はじけたポップコーンのように
感情をあらわにする

いつも振り回されてしまうけど
そのやわらかな暖かさに
心地よさまで感じてしまうんだ

でも
春風を
独り占めにすることは
不可能だよね

今日も君は
咲き始めたばかりの
花びらを散らして
通り過ぎていく


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