Cats/みつべえ
てきてエカテリナにあてがう。純粋種をつくろうというわけだ。そして産まれた子はどこかへ連れ去ってしまう。
(きっと売りとばしたんだわ)と彼女は固く信じていた。
けれども、わが子や自分の行く末を悲観したことはない。どこに行っても、どんな環境のなかにあっても、それはそれでひとつの生きざま。「死」さえもそれが運命ならば甘んじて受け入れる。
早い話、どうでもいいのであった。
それに「カゴのネコ」同然といっても、そこはネコのことであるから、エカテリナはやがて家の外へ出る抜け道を見つけてしまった。
ある日のこと、彼女は押し入れの襖をあけてみた。諸君らは(誰に向かって言っているんだか)、ドアや襖
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