Cats/みつべえ
 
ッタが越境したころ、なんの因果か偶然か、ガボも同じエリアに入っていた。エカテリナに会うために。

エカテリナ
きみのしなやかな 体毛の奥から匂いたつ
蜜のような 花のような 夢のような
春のよろこびよ
どうか お願いだから
美しい後足で地面をふまえ
お尻を高くたかく突き出しておくれ
ああ きみなしではもう
ネズミ一匹とれないふぬけになった
ぼくのために ぼくのために

「ふむ、いいデキだ。これで今日こそエカテリナはイチコロさ」
 ガボは自作の詩をくちずさみ、ほくそ笑んだ。
 そしてエカテリナの家に行こうと路地の角をまがったとき、いきなり見知らぬネコに出くわした。びっく
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