ビタミンヘラクレスナナメヨコ/カンチェルスキス
は刑事長となった今でも殺人事件と聞くと心臓を針で刺されたような鋭い痛みを感じた。いつまで経っても殺人事件には慣れん。オレたちの稼業がなくなる日はいったいいつ訪れるんだ。しかし2月3日と言ったら節分だ。節分には太巻き‥‥‥。オ
レはいつも鬼役に徹してる。太巻きなど食わん。このような物思いに耽ってると、無線連絡が入った。
「刑事長!また殺しです!」
場所を告げる部下の声が続く。
そして刑事長は怒鳴る。
「今度の事件の凶器は何だ!」
部下が大声で答える。
「長ネギです!」
刑事長は冷静だった。静かに訊ねる。
「長さは?」
部下。
「ものすごく」何度も無線で確かめた後で言っ
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