誰かあの駒鳥を殺して/朽木 裕
「嗚呼、空が落ちる」
「落ちる筈がないだろう」
「あの水溜りを御覧よ、ほら空が、」
ソラガオチル
「水中遊泳とでも洒落込む心算かい?」
「なにが、」
「空を飛びたいと云っていたのじゃあなかったか?」
「嗚呼、それは」
「それは?自殺、と云う意味での、だろう?」
「違う、」
「違わないね、君は本当に酷い人だよ」
「ちがう」
「こんなに愛しておいて、君は消えてしまうんだから」
「ずっと、愛している」
「そんな世迷言に僕は騙されはしない」
「騙してなどいない」
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)