とれない青のインク/箱犬
僕の手が青青のインクで染まって
洗っても落ちないインクで染まって
いくら洗ったところで行く末の水が青くなるばかりで
どこでそんなに青くなったのか全く思い出せないままで
僕はインクが落ちればいいと強く願った
僕の手はいつしかしわが刻まれ
それは風呂に入ってもふやけないしわで
いくら待ったところで誰も来やしないという思い出って
悲しみより何もない恐怖が先走ってしまって
僕はインクが戻ればいいと強く願った
どちらの僕が正しいのかわからないけど
もう一度言うよ 曖昧こそが真実に近いんだ
だから僕は僕の手の取れない青のインクのことより
最後は行く末の水がどうなったかだけを考えることにした
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