芽吹き/葛西佑也
風にゆらめく、
踊り子たちが
激しい春に
ときめいてゆく
日常。
(ゆうや、ゆうや
あなたがぼくを、呼ぶのは
小犬の甘噛みに似ている、の。
ゆうや、ゆうや)
新宿に居場所は無いの。
ゆらめく葉、と
きらめく窓、が、
おいしそうなの
そう、ぼくは新宿に
食べられて。
踊り子たちが、
新宿できらめいて
窓の光
世界の中心の、
交差点から
芽吹く、いのち。
もう、ぼくを呼ばないで
踊り子たちの
独善的な動きに
夢中になっていたら、
それでいいじゃない。
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