歩き出した若葉/箱犬
 
歩くことが苦にならない

のどが渇けば朝露を飲めばいい

太陽がいつもおなかいっぱいにしてくれる

青虫だけは大嫌いだけど

土の中は暖かいゆりかごで

空の色は見たこともない空色で

やっぱりそれは当たり前のことで

若葉は歩き出した


生きることが苦にならない

のどが渇けば自販機がある

コンビニがいつもおなかいっぱいにしてくれる

勉強だけは大嫌いだけど

部屋の中は暖かいゆりかごで

空の色は見たこともない空色で

やっぱりそれは当たり前のことで

僕は歩き出した


それはどちらもとっても素敵なことで

それはどちらもとっても当たり前の事だった


春風が吹き揺れた


そしてどちらが揺れたかは とうとう誰も知られずに終わった

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