ねむりひめ/蒼木りん
あしたも
そのあしたも来るということを
簡単に信じちゃ
いけなかった
その言葉は
重ねた過去からの
甘い憶測で
あしたが今日までと変わらないなど
保障されない
懐かしさは
胸を絞めつけてくる
懐かしさを連れて来てはいけない
懐かしさに慣れてしまわぬうちに
閉じ込めておかなければ
怖いのは
足をすくわれること
奈落の淵で
鉤縄のごとく叫んだ言葉は
果して届くのか
わたしは
ずっと自分は善い人だと思ってきたけれど
そうでもないことを知っていて
褒められた瞬間から
嘘の疑惑
いったい何を学ばされているのだろう
今の段階で出せる答えは
愚かしさ
ということか
悲しすぎて
身体が機能しない
ねむり姫の占い女は
そんなに悪い女だったのか
引き立て役には
いつのときにも悪が必要なのだ
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