世界でいちばん美しいお尻の持ち主の君へ/クリ
 
話すと
遅すぎてその前に聞いたことを忘れています。
朝は、深すぎる愛が二人を殺さないように
疲れた身体の上にやってきます。
じゃあ、そのゆっくりは誰のためなんでしょう。
少なくとも
新聞記者が楽にメモを取れるように
じゃあないことは確かです。

世界でいちばん
会いたい君へ。
いちばん幸せな気分にさせて
いちばん胸を締めつける君へ。
僕は君のためにタイムカードを押します。
じゃあ、君は何のために制服に着替えるのでしょう。
世界でいちばん
泣きたくなる君へ。

世界でいちばん美しいお尻は
僕の手のひらにちょうどおさまるから。
世界でいちばん柔らかい乳房は
僕が巣の中の雛のように眠れる柔らかさ。
世界でいちばんいい匂いは
僕の淋しさと罪の臭いを消すから。
世界でいちばんのゆっくりは
僕がいつまでもその声を聞いていられるから。
世界でいちばん会いたいのは
世界でいちばん愛しているのに
世界でいちばん知らない人だから。


                   Kuri, Kipple : 1995.05
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