山本さんから鈴木さんへ/宮川三太郎から
 
Bのどっちかを選ぶなんて、
山本さんがそれを選ぶ前には
山本さん以外の誰にも分かりっこないのよ。

いわゆる人工知能が
完全にロストテクノロジーになってしまったのは
結局、
誰にもわかりっこない、
AかBを選ぶ前の山本さんの選択を
シミュレーションしようとしたから。

でも、あたしたちにも、
山本さんと同じレベルでわかることがあって
それは、
山本さんが選んだ後に、
山本さんがどっちを選んだのかってこと。

それはね、間違いなく、みんなが共有できる事実なの。

あたしたちが制度内で行動するってことは
まさに、そういう数少ない事実を共有しながら

あーだこーだ語り合う

山本さんが選んだAについて
鈴木さんが、
なんで山本さんはAを選んだんですか
ぼくは、Bが好きだなー
でもね、あたしは、Bも好きだけど、Aの方がもっと好きなの
そもそも、好き嫌いで判断することなのかな
そうかしら、

なーんてことを、馬鹿馬鹿しくも

しんけんに

語り合わなきゃ、あたしたち何も変わらないんですよ

かもね。

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