猿の惑星/蒼木りん
 
あした
死刑を待つような気分の夜をあきらめて
もう死んでもいいやと
睡魔に身をゆだねる
いくつも死んでいるはずなのに
あしたも
そのあしたも生きている

分厚い小説の
だらだらとしたくだらない説明文のような頁が
これでもかと続いた後に
思いもかけないことが起こると
期待している所為か

たとえば
UFOがわたしを浚っていって
気が付けば
一面の麦畑の中
猿の惑星でないことを願って

かすかに残る記憶を
こんどは生きがいにしたりして
深く詮索もせず
なぜなら
断片はいつも哀しげな味がするから

いっそ
殺してくれと
思う日が来るのだろうか
ただ胸が苦しいだけなのに
楽になれば
死んでたまるかと
思うくせに

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