あたしのてのひら/茜幸美
あたしがこんなふうでもいいのかな
あたしがこのままでも
誰かの何かになれるのならば
それはとても嬉しいこと
気持ちを伝えるために言葉を並べているけれど
その気持ちがどこまで伝わっているかはわからない
それでも「ありがとう」をくれる人がいて
あたしのささやかな言葉も意味を持つ
心配なことや不安なことがいっぱいあって
自分に自信が持てないことで埋め尽くされて
どうしようもなくなってしまう
大丈夫と背中を押してほしいのなら
あたしの手のひらで押しましょう
それだけでふんわり前を向けるのならば
あたしの後ろに何も無くとも
それを見せずに押しましょう
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