グダン・ガラムの夕暮れ/遊羽
賑やかな喧噪を
そのまま宵の戸口へと引きずり込む
夕暮れの街角
モスクが近いのか
コーランが時間を教えてくれた
赤すぎる空は
日本のそれとは
明らかに違うように思え
シクロの行き過ぎる通りから
一つだけ裏へ回る
宵闇を吸い込んだ路地に
ネオンは一つもなく
食堂から立ちこめる煙の中
薬の屋台に
くたびれた人が座り込む
空腹を感じながらも
インドネシア語のメニューには慣れず
裏路地を歩けども
僕が行くべき場所も見あたらず
赤空の下で火をつけるグダン・ガラムの味は苦く
暮れゆく空が問いかける
まだ帰らないのかと黒い雲をまといつゝ
宿に戻るにはま
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)