椿/かなりや
 
いつのまにか冬になったと思っていたけど
あと数ヶ月もたてば
あっというまに春まっさかりだ
ぼくんちの庭には
小さな梅の木と
わりと大きな椿の木があって
そんな花たちが春をおしえてくれる
けど
ぼくは
なんだか椿をまっすぐには見られない
梅なら
じーっと見ることもできるのだけれど。
だめなんだ
椿の散りかたを思い出してしまうから
だと思う
たぶん。
花ごと
ぼとっと土におちるんだ
散る、というよりは、おちる。
首ごとまっさかさまだ
ところどころ茶色になってしまった椿は。
花がおもくなってきて
思うように空をみられなくなって
首をもちあげたら
その瞬間
くきっと
いっちゃったように思える。
深よみって笑ってもいいよ
でももう
椿の首でいっぱいの庭をみるのはたくさんなんだ

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