宇宙暮らし/まんぼう
草深い宇宙の
風景の灰色の中で
疼く不満や寂しさは
如何なる文化の残骸だろう
石垣に染み付いた地衣類や
鉱物を喰う黴は
硬い石の上に一時記憶され
やがては落魄する
地球儀と砂時計の文明はまもなく終る
消滅する空間と時間
松林と白い恒河沙の浜を
記録し続ける天文観測員の徒労よ
時間は復讐の永遠回帰にすぎぬと
螺旋の庭を廻る美しい流刑囚は呟く
草いきれの夏の闇の中を
内部だけ明るく照らして
カーニバルの夜汽車は走る
遠い島宇宙の
みなもと深くきざまれた渓谷の底から
誕生したばかりの銀河を見上げるために
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