リラの咲く頃/クリ
 
札幌では桜で花見と考える人は多分こっち生まれの人で多くの人にとっては満開のライラックが「心の花」でありこっちに来てしまった人はライラックを見つける度にそれを喜んでそれが段々思い入れが増していくとある日いつの間にか人は初めて自分がもう若くはないことを思い知らされるのだがそれでもまだ「リラの咲くころ」に始まった幼い恋のことを握れなかった手と触れられなかった唇の持ち主の少女の表情を今でもまだオバサンになっていないかのごとくイメージできるし気紛れにライラックの花びらの香りなどを嗅いでみるとまだまだときどき会社の近くのランチ屋で見かける淋しげな子とひょっとしたら「いけない関係」になったりして…とそんな妄想を
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