体温/蒼木りん
た夢
獅子は
屏風絵に描かれているような
あんな顔だった
きょうは
やけに電話が鳴り
訪問者が多かった
そして最近は
用事が多い
一人きりの休日は
これからはなくなる
私としての私も
後回しにしてきた感情も
表には出ぬまま消えてなくなるのかもしれない
一昨年までは
未熟ながらも
私でいて
許されていた
たぶん
これは無知の罪なのかもしれず
細く降りつづける雨に
傘を無用とした私は
濡れて耐えるしかないのだろうと思う
自分の体温だけが
自分を温めている
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