まちぼうけ(改訂版)/ポロリ
静かな絶望の風を纏うているか
大地に黒々と歪に伸びた生命線
白々と清清しいベンチでぼくは
茫々洋々停滞するハザマを思念
己より重い荷物を抱えフラフラ
果てなきみちに思いをはせる点
ぐるぐると同じ所を回って道草
えっちらおっちら歩みを止めん
とおくから不意に訪れる呼称が
現実に心を引き戻しいかんせん
彼女が手を振り馳せ来て言った
ハァハァと息切りながらごめん
黒いキャスケットに黒のマフラ
上目遣いで八重歯を覗かせ眼前
胸元にキラキラと輝くクロスが
まるで乳白の丘に突き立ち眩然
親戚の爺が死んだときの回想が
蘇り、母のおもむろに発した言
腹上死知
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