じゅうななさい/K+A
ていった。
勉強もせず、バイトもせず、彼女にも会わない。時間は有り余っていた。余りすぎた時間を煙草で埋めた。イライラして煙草を吸って、煙草が無いとイライラするようになっていた。
そうして、煙草がどんどん強くなっていった。
読んでいる自伝の主人公は都会の中で腐っていくところで、イヤホンの向こうでは声を振り絞って全てが上手く行っていないと歌っていた。同調したけれども、彼らはそれでも今成功している。本と歌の終わりでそれでも希望を持って生きていくと決めた彼らに裏切られた気がしてしまう自分は、失敗作だった。
下腹部周辺に重くドロドロと渦巻く何かを外へ出したかった。吐き出し方が分からず酒を飲むことで気付かないふりをした。自分を傷つけるようなことは出来なくて、相手を無意識に傷つけた。
最低の人間になっていた。
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