あらかじめ決められているルートをなぞるようにタクシーは夜を走っていく/大覚アキラ
 
真夜中に
ペパーミントの匂いのするタクシーの
バックシートに身体を沈めて
焦点をずらしたまま
流れてゆく光の帯を
瞳孔の奥のほうで感じている

信号待ちで隣に並んだ深緑のジャガー
シグナル
ブルー
アスファルトに黒い痕刻み付けて
一瞬で置き去りにしてゆく

あんなふうに
ぜんぶ置き去りにして

形あるものを
ぜんぶ置き去りにして

戦線離脱しませんか
一緒に

そんな
甘い
オレンジジュースみたいな気分が半分

もう半分では
明日の
戦い方を考えている
戻る   Point(3)