放蕩息子の帰宅/モーヌ。
 



そこでは ぼく と あなた と だけ だった

ふたり... 手のひらの 傷穴 を 帰って いったのは





日がな 窓の眼の まま いっぱいに

高まり 止んでは ゆりかもめの リュートが

紗布の ひかりたちを 追い 抜いて

ガラスの 塔たち を ゆらせた

海を ひらいた 雲の杜を ひらいた

つばさの なかの 木の葉を ひらいた

午後の 陽の なかの あなたに まみれて

ぼくは 眼を 細めると

まだ 水の なかの 黒と 白の 無言劇が

閉じては ゆけない 変幻が

抱きあっていた 告白を

割れながら は
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